小売業で資格は不要?

三交代の遅番の仕事が終わり、土曜日の深夜1時30分ころ、国道沿いにある大手量販店の駐車場にクルマをつけた。土曜日の深夜ということもあり、駐車場ではガラの悪そうな若者たちが、たむろしてクルマから大音量の音楽を流している。

彼らは、いったい何を目的として量販店の駐車場に集まっているのか?タバコの吸い殻を駐車場に捨てて、空き缶を放置する。私も若い学生の時は、あんな風だったのだろうか?

私はウィスキーを購入するという目的を確実に果たすため脇目もふらず店内に入った。深夜2時まで営業している、このお店では従業員が閉店の準備をしていた。
地方都市でも深夜まで営業するという、この小売業の経営戦略は、まるでヨーロッパの古典的名作、ドンキホーテのごとく無謀な気がするのであるが、会社としては儲かっているらしいから、世の中分からないものである。

整形手術前の韓流スターのような顔立ちの若い男がレジに立っていた。訊くと勤務時間は17時から深夜2時までで、あいだに1時間の休憩を挟み、実働8時間労働だという、工場の交代勤務も大変かもしれないが、小売業の深夜勤務も、また酷いものである。私は両方やったことがあるので良く分かる。
深夜労働は、若いうちは良いがトシを食ってからは厳しいだろう。
それで、この小売業であるが、あまり人にオススメ出来ない理由は勤務時間のことだけでなく、資格、スキルが全く身に付かないということがある。小売業においてはスキル は必要なようで実はない。資格もとくに身につかない。

あえて資格ということで言うならば「ドラッグストアの登録販売者」くらいであろうか。

あとは特に資格取得の必要もないし、逆を言うと取得も出来ない。

販売士の資格があるではないか、という意見もあるかもしれないが、あんなものはクルマの中にぶら下げられた「交通安全」のお守りと同じ効果しかない。

転職の際には、履歴書の資格の欄を一行だけ埋めることが出来るものである。書くものが何もないよりはマシという程度だ。ウソだ!と思うのならば実際に転職活動をして自分で確かめてみると良い。少なくとも私はそうであった。

小売業の求人募集において「販売士の資格、必須」なんて求人はまずない。

ドラッグストアで「薬剤師資格 必須」というのは見たことがあるが。

こうした小売業での仕事というのは、ある程度の年齢になったときに、自分が何の技術、資格、スキルも身につけていないことに気付き、愕然とするのである。

レジ打ちくらいなら、コンビニエンスストアのアルバイトでもやるし、日本語の話せない外国人でも、このくらいなら出来る。

逆を言うと、それだけの労働力しか必要とされない職種である。

アルバイトも正社員も求められる資質は、それほど変わりない。仕入れを担当するバイヤー、あるいは広告チラシを作るポジションくらいまで出世すれば、少しは変わるのかもしれないが。

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