退職強要の事例、吸収合併によるパワハラ
私のかつての上司に「偉大なる将軍さま」と呼ばれた人物がいます。
ネーミングは、もちろん私です。
彼は私の一番上の上司、所属長でした。
当時、私の所属していた職場では、彼は、それはそれは強権をふるっていました。
若い女性従業員がいれば、何かにつけて呼び出して、自分の傍に置きます。
私は若い女性従業員ではないので、そこでセクハラがあったか、どうかは不明です。
しかしながら、北朝鮮の「喜び組」みたいなものを作って「偉大なる将軍さま」は会社人生を楽しんでいました。
気に入らない奴は「粛清」までは行きませんが、自発的に辞める方向に持って行くのです。
例えば「有給を取らせない」とか「ボーナスの査定をマイナスにする」といった具合です。
そんな、我が世の春を謳歌していた「偉大なる将軍さま」ですが、転機が訪れます。
親会社が変わることにより、会社の体制に変化が現れたのです。
つまり、吸収合併されました。
吸収合併というのは、経験したことがある方は分かると思いますが社内的に相当、混乱を引き起こします。
吸収する方は良いとしても、吸収される方は、それは悲惨なものです。
戦勝国と敗戦国くらいの違いがあります。
この場合、特に管理職がターゲットにされます。
理由は人件費が高いからです。
また年齢も高いので使いにくいというのもあるでしょう。
管理職は基本的に吸収する方の会社の人間がやるべきものであって、吸収される会社の人間がやるべきものではありません。
今まで好き放題してきた「偉大なる将軍さま」ですが、遂に会社を辞めるように圧力がかかりました。
つまり、退職強要です。
圧力がかかった途端に「偉大なる将軍さま」は激怒して、次の日から会社に来なくなりました。
もちろん辞表も出していません。
普通解雇か円満退社か不明ですが、将軍さまは、こうして会社から姿を消しました。
彼が54歳の時です。
そして、私の同僚に通勤で、毎日、この将軍さまの家の前を通って会社に来る人間がいました。
彼が言うには、
「今日も家の前にクルマがあった」
つまり仕事に行っていないという意味です。
「今日も、、、」
「今日も、、、、、、」
「今日も、、、、、、、、、、」
彼は将軍さまに恩があるらしく、次の就職先が決まらない将軍さまに同情しているようでした。
そして、彼が言うには一年ほどして、将軍さまは次の就職先を見つけたようです。
職種は廃品回収ということでした。
かつて上場企業の管理職をしていた人間といえども、人に雇われている時点で、この程度です。
採用面接で「何が出来ますか?」と訊かれて、
「課長か部長なら出来ます」
と答えたという笑い話がありますが、将軍さまの場合も、こんなものです。
「サルは木から落ちてもサルだが、政治家は選挙に落ちたら政治家ではない」
「管理職といえども、会社を辞めたら、ツブシのきかない、単なるオッサンでしかない」
そんなことを思い知らされた出来事でした。