こんな会社辞めてやる!
仕事が合わないから転職する ノルマ, 信用金庫, 営業, 左遷
以下は、私の友人の体験談、実話です。
彼は東京の中堅クラスの私立大学を卒業後、地元の北関東に戻り、金融機関に就職しました。金融機関に就職といっても都市銀行でもなく地方銀行でもなく、「信用金庫」です。かといって消費者金融や商品先物業者でもありません。
彼は信用金庫に「入庫」しました。余談かもしれませんが銀行に就職することは「入行」と言いますが、信用金庫の場合は「入庫」というそうです。
信用金庫での仕事ですから働く前から、おおよその業務内容は理解していたつもりでした。
子供のときには原付バイクに乗った信金職員が、よく定期預金のパンフレットを持ってやってきました。小学生の時には正月にもらったお年玉を、この信金職員に預けて通帳を作ってもらったこともありました。
それで、子供時代の思い出とともに、新卒で入社した新人信金マンの彼に与えられたのは「営業カバン」「スーパーカブという原付バイクではなくママチャリの自転車」そして「営業ノルマ」。この三つでした。
せめてカブに乗って預金集めくらいをするものだ、と思い込んでいた彼にしてみたらママチャリの自転車はショックだったようです。
自転車なんて高校生のとき以来です。大学時代は中型のバイクに乗っていました。後部座席に彼女を乗せて、良くツーリングに行ったものです。
「ガソリン代を自腹で払うから」と言っても、自分のクルマに乗って営業をすることは許されません。あくまでも会社指定の移動手段を使わなければなりません。
自転車に乗って投資信託や保険などの金融商品の営業をしていると楽しかった学生時代の思い出がよみがえったといいます。
天気の良い晴れた日なら、まだしも雨の日や雪の日には、カッパを来て自転車をこぐのです。雪の日にはゴム長を履きます。赤信号でブレーキをかけて上を見ると、まるで自分の人生も行き止まりのような気がしたといいます。北関東の寒風が、頬にあたったときに、実際の気温よりも寒い体感温度が彼には感じられたようです。
それで、この信用金庫では、毎月定例の営業会議?のようなものが月初めに行われていたそうです。
この会議の場で、信金のエライさんが資料を見ながら、投資信託の販売獲得件数が、どうの。。とか、融資の状況が、どうだとか言うらしいのです。
それで、この会議の場で、新人くんの営業ノルマ未達の件が話題になりました。
早い話が、「数字が取れていない」ことについて上の人間から詰められたわけです。
そのことについて意見を求められた新人くんは、咄嗟に、大きな声で、
「こんな会社辞めてやる!!」
と、叫んでいました。
エライさんは、ドン引きです。
早速、次の日に、早くも辞令が出されて彼は営業職から陽の当たらない内勤の部署に異動になりました。早い話が左遷です。
程なくして、彼が信用金庫を辞めたことは言うまでもありません。
現在では地元のメーカーに勤務して妻と子供を養っています。
めでたし。めでたし。
ちゃん。ちゃん。
若いならば、いくらでもやり直しがききますよ。
無理しないで行きましょう。自分の人生です。焦りは禁物です。
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